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山本りか議員2016年一般会計決算認定に反対討論

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認定5号の三重県2016年度一般会計決算について反対の討論をいたします。
2016年度決算によると、「実質単年度収支額」は約94億円の赤字となり、赤字は2年連続です。
歳入では、県税収入は伸びず、個人県民税が、679億円と4.2%の減となり、法人2税は593億と10.8%の伸びですが、個人住民税や地方消費税14.7%の減退を見ますと、一部景気回復の兆しが見えたとはいえ、県民の所得や購買活動には回っていません。
振り返れば、税収増・雇用拡大を願い企業誘致などを進めてきたわが県ですが、20年前には個人県民税の2倍近くもあり大きく上回っていた法人2税が落ち込み、リーマンショックなどもありましたが、大企業減税もあって逆転しています。
財源捻出のため他会計からの借り入れを行ったり、債権抑制のため借り換えを行う中ですが、特別会計を含めた28年度末の県債残高は、1兆4607億5千万円です。県民1人当たり1万1000円増の80万8千円です。県債依存度は15年間で1.6倍になり、内訳は、公共事業等債権が24.5%を占めています。国の借金が1人当たり830万円ほどありますから、合わせて900万円を超えるわけで、将来のための投資と割り切るにはあまりに大きな金額となりました。
消費税の税率10%への引き上げの2019年10月1日実施が論じられる半面、大企業や大資産家には減税を続けてきた「アベノミクス」は今や、家庭生活を悪化させるだけでなく、県財政にも悪影響を及ぼしてきていることが読み取れます。
監査委員からも、「景気は回復基調だが、県税収入は減少に転じている。義務的経費が増加し、臨時的な財政需要に対応できない硬直的な財政構造が続いている、事業の選択や県債の発行抑制などを求める指摘がありました。
付け加えますならば、憲法の「財政民主主義」の理念の下、予算の単年度主義を規定しています。財政法第4条は、公共事業などを除いて公債や借入金を認めていません。
 財政法第4条の立法趣旨は、当時の主計局法規課長の見解「公債のないところに戦争はない」「(第4条は)憲法の戦争放棄の規定を裏書き保証せんとするものである」とのことです。
これは、かつて膨大な戦時国債で戦争をすすめた財政運営が住民生活を破綻させた反省を踏まえたものです。その理念に立てば、慎重にも慎重に、そして、その借金で何に支出しているが重要になってきます。

「財政再生」を口実にする中、縮減はもちろん大切ですが、社会保障手控えや住民負担増になっている現実があることが問題です。
 
 昨年度を見てみれば、三重県としてはやはり伊勢志摩サミットが一大イベントでありました。
伊勢志摩サミット記念館「サミエール」の入館者数が開館当初は年間2万2千人ほどの来館者数を見込んでいたのが10月2日、10万人を突破したということです。せっかくのものですから盛況なことを喜びます。
日本共産党の岡野議員の総括質疑で明らかになったように、2016年度としては39億円、2015年度補正予算を含めて2年間で、計画当初94億と言われたものを、ご苦労いただいたのでしょう88億円に抑えたということです。県を上げて行われました。
このサミットが開会前の百五経済研究所試算によると、開催後5年間の経済効果は県内で
1110億、外国人観光客5倍増ということでした。
またサミット開催中までの経済波及効果は県内で130億円ともされていました。
最大限の宣伝効果を期待し、セントレアにはもう伊勢志摩サミットのポスターが所狭しと貼り出されました。
開催後までの宿泊者数は諸事情ありましたが見込んだ50万3000人に足らず60万6千人。
発信力強化しての三重ブランド商戦は、昨年10月に発表されたブランド総合研究所の調査では
県の魅力、前年21位から26位にということです。一つの指標でありますがシビアに見なければならないものです。
また、今年1月に志摩市商工会が市内企業に実施したアンケートでは、
波及効果はあったと答えたのは全体の30.1%にとどまり、
効果がなかったとの回答は37.9%で上回りました。地元の事業者さんでさえサミット効果を実感できていません。私も、サミット前後に現地へ行かせていただき、真珠販売・飲食経営・宿泊業・漁業者の方とお話をさせていただきましたが、その期待が大きかっただけに落胆の色を隠せないということを感じました。ましてや、広く県民にとってどうだったのか、県財政にとってどうだったのかということです。
知事は「一喜一憂せずチャンスつかめる環境つくりを」ということで、学力テストの成績に対するものいいとは偉く違いました。
 4億の基金を崩し35億を県債で賄い、道路整備費は国費投入もありますが61億となっています。メディアセンター用地の無償提供も違和感を持ちます。
 さらに、人的配置が究極縮小されてきている本庁各部署からサミット担当を引き抜き、本来の庁内各部署の業務の職員負担を大きくし、ひいては県民サービスに影響が出ないはずはありませんでした。
 このための起債が、県債残高が増えた原因の一つでもあります。
知事は日本人の心のふるさとと言ってこの事業に力を入れられてきましたが、民衆文化としてのお伊勢さんの歴史は理解するものの、それぞれの心のふるさとを限定されては心外だという思いも込めてサミット関連決算は容認できません。

 加えて、
賃金が10万円も低いとされており人員不足が問題となっている保育士・介護士の処遇改善のための手立てが不十分なこと、
社会福祉法人などに対する監査指導費280万1258円は不十分で、問題事例が多くある中対応が仕切れていないこと、
建設効果である費用対効果が確実に満たされていない中で進んできた霞4号幹線国直轄事業を含む四日市港管理組合負担金支出17億4169万5000円、リニア推進経費もしかりです。
子ども・障がい者・一人親家庭の医療費助成49億6000万余は窓口無料がなされていなません。一般会計に占める昨年度の経費では0.66%です。1割増えたしても、0.72.今まで医療が必要でも立て替え払いという中で医療にかかれなかった方が受診できることは必要なことです。
県政だよりの作成・印刷・一般新聞折込の決算額の6418万円で、一方、利用のあまりないデータ放送は2100万円余です。かつては各戸配布であった県政だよりがデータ放送の導入により現在の一般新聞の折り込みになったことで、手元に届かぬご家庭が出てきていることや、一般紙の購入が手元に届く条件であるという形態は大いに問題があります。また議会だよりもそれに倣った配布体制となっており、どちらも内容についての問題以前に県民との最低限の説明責任ということから見れば同じく問題です。
「皆様のご進出をワンストップ&スピードでお手伝い」というキャッチコピーの企業立地優遇補助金は、問題となっている東芝への支出はストップしているものの、信頼関係で成り立っているその信頼を壊すような事例が三重県でも全国でも後をたちません。改めてこの制度の再検討があってしかるべきです。
最後に、国の学力学習状況調査に呼応する、三重学力向上関連予算5057万円については、国が押し付けてくるこの調査を回避できないとしても、点数に一喜一憂することなく笑い飛ばしてしまうような、競わせるのでなく、子ども一人一人の成長の発露を導き、いっしょに学びあう環境づくりにこそ財政投入すべきです。どんな理由をつけても、現場がテスト対策に追い込まれているのは事実です。子どもたちの心と体、先生方の心と体が心配です。
警察庁自殺統計で見れば全体の自殺者数は下降傾向であるのに対し小中高校生の自殺者数は減らないということが問題として指摘されています。2016年度全国で320人。警察庁の統計によると、
学業不振 34人、進路に関する悩み 29人、入試に関する悩み 17人、とトップ3  
このことを重く見れば、孤立化させるテスト競争の問題点は明らかです。
三重県ではありませんと言ったお答えがありましたが、学力学習調査については各地での不正参加の状況も明らかになっており、指標として走らせることはナンセンスでしかありません。
いくつかを上げましたが、くらし助けて、いのち助けての叫び声を県財政に十分受け止めることができていなかった決算だとして反対を表明し討論といたします。

 

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