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山本県議、2018年度一般会計、国保会計決算認定に反対

山本里香議員の反対討論

日本共産党の山本里香です。

認定第5号 平成30年度三重県一般会計歳入歳出決算、

及び、認定8号 平成30年度三重県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算について

認定できずという立場で討論いたします。

安倍政権が推進する経済政策により、大企業が空前の利益を上げる一方で、全労働者の実質平均賃金や家計消費は大幅に落ち込み、貯金をもたない世帯が35%を占めるなど、貧困と格差がますます広がっています。地方政治には、国の社会保障大改悪に対峙し暮らしや命を守る役割発揮が求められています。

認定第5号一般会計においては、歳入 7324億円中 県税収入は2659億円と8%増です。中身を見れば法人事業税が20%増、法人県民税が37%の増となり、景気回復の中にある一方、個人県民税収は微増・横ばいです。企業が儲けていても、経済効果が、県民生活にまで及んでいないことがみてとれます。加えて、中小の倒産・廃業件数の推移を見れば、法人における景気実態も、遍く好況ではなく特定の企業による好況といえます。そのような中での2018年、県民の生活や生業(なりわい)、未来を見据えた教育やインフラ整備、安心安全のために三重県としてどう取り組めたかがとわれます。

1つ、「リニア中央幹線関係経費」については、一昨年度まで700万円規模でしたが、昨年度は、経年支出している推進のための同盟会負担金261万円などに加えて、津駅・霞が関駅への啓発看板設置218万円、そして、「リニア東京名古屋間先行開業がもたらす本県のリニア効果に関する調査研究費」297万円を追加し、818万円の事業費を使っています。東京名古屋間の早期開業と更なる大阪までの延伸に力を入れてのことです。

この工事には県民の中にも賛否両論あります。計画当初、東京名古屋間 総工費5.5兆円JR東海が責任を持って自分たちでやるとしていたものを、いつの間にか、国から財政投融資という形で3兆円も支援することになりました。そして、元社長自ら「ペイしない」と言わしめる事業であり、中央アルプスを抜ける大型のトンネル工事の影響、排出される残土の処理、地下水の問題、名古屋近郊の大深度地下工事の影響など、工事そのものへの疑問も多くあります。静岡県の一部ではこの問題の方向が見えない中で事業が承認されず中断しています。

これまで、夢の大型事業で大いに痛い目にあってきたことを顧みれば率先して取り組むことは容認できません。この後、名古屋大阪間が現実のものとなってきた時には、県財政にどれだけの負担が生じるか、また、国費投入の部分でも、国民県民の負担がどのように膨らむか心から心配します。リニア新幹線新駅設置にかかわる自治体では自治体負担が深刻で、中津川市では年間予算に匹敵する400億円かけた事業規模に、飯田市では91億円をかけての駅周辺整備のため、立ち退きを迫られた住民が困惑しています。また、そのための基金を積むため、住民生活予算がないがしろにされているとの報告もあります。大阪までの延伸の総工事費が9兆円とも言われていますが本当にそれでおさまるのかも心配です。

 2つ、教員の時間外労働や多忙化の問題が問題とされる中、負担軽減にと策は講じているものの、現場で多忙化の原因と言われている「学力学習調査のためのみえ・スタディチェック」を続けていることなども、学力学習調査そのものの問題と共に、現場教職員の声を聴かず、型にはまった教育の押し付けで、自発的で豊かな教材づくりや真の指導力、教員活力の醸成の時間を奪っています。子どもたちにとっても残念なことです。「新しい価値・新しい豊かさ」を求めることとは相反することです。辞めましょう。いくつかある中の2つを述べて一般会計決算に反対します。

 認定8号 国民健康保険特別会計につては、昨年度から市町と共に県も運営主体となりました。

これまでと変わった初年度でありますから、しっかり見ることが必要です。

担当する国保課は、これまで時間をかけて困難な作業をしてきたのですから、それがどう実施されているかは気になるところでしょう。保険料についてはそれぞれ市町で決め保険料通知、徴収業務や滞納対処をするとは言っても、県も国保運営方針を立て、分担金を決定し、集め事業費として支出します。

 質疑の折に、部長より「とどこおりなく1年運営できた」との発言がありましたが、県の業務の中で滞りなくということでしょうが、被保険者は滞っています。

高すぎる国保料は、全国知事会でも問題にされ国へ「1兆円頼む」の要望をされるほどで、被保険者の暮らしを苦しめるだけでなく、構造的な危機となり国民皆保険制度の根幹を揺るがしています。国保の加入者だけの問題にとどまりません。病気・体の不調は若いころの働き方によって高齢期に発症するものも多くあります。他の健康保険加入時代のツケを国保が払う仕組みとなっています。県が市町と一緒になって運営主体となったわけですから、この構造的な問題の解決と、保険料負担を過大とさせないための努力が必要です。

2015年から毎年1700億円、2018年には加えて1700億円が投じられていますが、国保料は上がり続けています。

県内では昨年4月以降、激変緩和措置があっても、県内7自治体で値上げ、3自治体で値下げ、さらに、今年は10自治体が値上げと言うように、値上げの方向に走っています。県と一体となることで高すぎる保険料が解決されず、さらに被保険者を苦しめているということになっています。

 三重県の滞納世帯の状況や、差し押さえの状況を、29市町中24市町に調査いたしました。

滞納が1割を超えるところが半数、2割超えは4市町。31%増と言うのが最高値です。

差し押さえでは、津市,木曽岬町などしていないというところもありますが、滞納世帯の100%へ差し押さえをかけているところもあります。差し押さえについては極力慎重に個別の背景をしっかり確認してと厚生労働省からも通知が出ています。

滞納処分にかかわる独自のマニュアルがないところ、独自の研修がなされていないところが半数以上あります。換価の猶予の適用は3市8事例にとどまっていますし、換価の猶予最長6年を知らなかったというところも半数以上あります。

 医療控えで、受診が遅れ重篤化して命を落とした事例も私が知るだけで県内で3例です。ほんの氷山の一角です。国保料滞納などにより、無保険もしくは資格証明書、短期保険証発行により受診を控え病状が悪化し死亡に至った、保険料を支払っていて正規保険証を保持しながらも、窓口支払いが出来なくて受診が遅れ死亡に至ったというわけです。

県が乗り出し、高すぎる国保税の問題を改善するどころか、負担増が進んだ実態があります。今後もさらに心配です。あらためて、市町が国保料を下げることができる手立てをすべきでした。

よりよい国保となりますように願いを込めて反対いたします。

「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とする」という地方自治法の精神を全うし「新しい幸せや豊かさの価値」の土台となる県政を願います。

以上、議員のみなさんの賛同を求め、認定5号と8号の反対討論といたします。

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