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12月23日 三重県議会 最終日 山本里香議員、教育変形労働制について反対討論

議案第150号 公立学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例案に反対する討論を行います。

8時間労働制を崩し、教職員が長期休業中に休日のまとめ取りを行い、リフレッシュ時間を確保することなどを目的に、給特法が改正され、教職員にも「1年単位の変形労働時間制」導入が可能となり、県条例の改正となったものです。

「定額働かせ放題」とも言われる、4%の教職調整額の支給と引きかえに、労働基準法第37条の割増し賃金の規定を適用除外し、残業代を支給しないとしている給特法をそのままにしているため、時間外労働を規制する手段を奪い、際限のない長時間勤務を放置してきました。

この問題を解決せずに、どうして教員の長時間労働が是正できるというのでしょうか。  

確かに、教員の長時間労働が社会問題化したことで、現場は少しずつ改善していると聞いています。しかしまだまだ、人手が足りない、なりても減少傾向。どうしても仕事が集中する人が固定的に出てくる。

その中で、導入可とする「一年単位の変形労働時間制」は、既に実施されている職種では、労働者に長時間労働を押しつけ、使用者の残業代節約に活用されているのが実態です。

変形労働時間は、そもそも長時間労働の解消とは無縁のものです。

解消ではなくな「なかったことにする」ものでしかありません。

多忙期において、所定の勤務時間が 1 時間長くなれば、当然のことながら名目上の時間外勤務は減少します。一日の拘束時間を増やす一方で、時間外勤務があたかも減っているかのように描き出せます。そして、あたかも長期休業期間に「一定の休日」が設定されていると装うことで、名目上の辻褄合わせになる。

質疑の中でも、多忙となる時期の所定の勤務時間を延長するとし、夏休みに振り替えるといいますが、多忙となる新年度始まりや、行事の多い秋は、既に教員の過労死事案が多いと言われており、その時期にあえて所定労働時間を延長するなど、まさに教員の過労死促進条例と言わざるを得ません。

日々の疲労は日々解消することが原則、そもそも多忙期の疲労を3か月積らせておいて、後で回復できるようなものではありません。人間の生態リズムにあった 1日 8時間労働制の原則を壊すものです。たまった疲労が簡単にとれないことは誰もが感じているはずです。変形労働時間制は、健康を壊し、人間を壊します。リフレッシュとは疲れた時にするもので、壊れてからでは遅すぎます。

そもそも、「1年単位の変形労働時間制」施行の際の通知では「恒常的な残業が存在しないこと」が大前提ですが、恒常的に45時間以上の法外な残業があるので導入の前提がありません。三重県でも中学校では3割にも上る45時間越えと質疑で明らかになりました。

さらに、1 年単位の変形労働時間制は、あらかじめ労使協定で労働日毎に勤務時間を設定することが必要となります。しかし、教育現場はあらかじめ業務を想定してもその通りにすすまないのが現実です。なぜなら、子どもたちは日々成長し、時には様々な問題を起こすこともある、まさに生きた子どもたちに対する教育活動を行っているからです。保護者との対応を含め、学校や教職員個人のペースを軸とした教育活動をすすめることには自ずと限界があります。臨機変更ができない変形労働時間制の建付けは不可能です。そもそも学校は、厚労省の『一年単位の変形労働時間制に関わるガイドライン』が「適用する余地のない」とする業務に該当する職場です。

一日11時間を超える長時間労働、年休も取れない、身も心も疲れ切っている教員の働き方を変えるのが、教育委員会の仕事です。それは変形労働制を導入することではありません。その前に、業務の抜本的縮減、教員の大幅増員とともに、教育職員に労働基準法第37条を適用し、給特法の抜本改正こそ必要です。

 以上、反対討論といたします。 

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