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新型コロナQ&A第4弾感染をどう防ぐ

新型コロナQ&A 第4弾

感染拡大どう防ぐ

東京など大都市部を中心に新型コロナ感染症が再拡大しています。暮らしや営業への打撃も重大です。どうしたら感染拡大を防止できるのか、暮らしや営業を守るには…。Q&Aで考えます。

PCR検査の抜本拡充を

Q 急激に感染者が増えてきて心配です。

(写真)PCR検査の検体採取をする医師=5月、大阪府東大阪市

A 東京都の新規感染者数は、1週間平均で人口10万人当たり9人超です(18日現在)。政府が、感染拡大防止のため社会に協力要請をする基準としてきた2.5人をはるかに超え、緊急事態宣言を出した際の5人をも大きく上回っています。

国立国際医療研究センターのツイッターは、「緊急事態宣言が発出される前と状況が酷似しています。市中蔓延(まんえん)が始まっていないか心配です」と発信しています。ところが安倍政権は、感染防止のための有効な対策を何もやっていません。

日本共産党の志位和夫委員長は17日の会見で、「大変、憂慮すべき重大な事態だ」とのべ、PCR検査の抜本拡充と、徹底した補償と一体の休業要請で感染拡大を抑止することを求めました。

PCR検査の拡充では、①市中感染が広がっている地域を特定し、住民全体を検査の対象にする、②首都圏や大阪などの感染拡大地域では、院内感染・施設内感染を防ぐため、医療・介護、障害福祉、保育、教育の関係者については検査を行う―ことが必要です。大規模な検査によって陽性者を見つけ出し、隔離・治療することが感染抑止のカギだからです。

休業要請については、新型インフルエンザ特措法24条の9項にもとづいて、徹底した補償とセットで行うことです。

この二つをあわせて感染拡大を抑止することが求められます。

補償と一体の休業要請こそ

「GoTo」は見送れ

Q コロナの影響と長引く活動自粛で、暮らしや営業の困難が増しています。コロナ対策と経済活動をどう両立させたらいいのでしょうか?

A 政府は、新たな感染拡大が生じているにもかかわらず、有効な対策をなにも行わないまま、経済活動の再開を急いでいます。

その象徴が旅行代金の半額を補助するという「Go Toトラベル」事業です。政府が全国一律の前倒し実施を決定したことに対して、国民や知事などから反対や懸念の声が上がり、あわてて「東京を除外する」ことを決めました。しかし、東京以外でも感染が広がっており、こういうもとでの実施は感染拡大を促進する暴挙というほかありません。「Go Toトラベル」は開始見送りをきっぱり決断すべきです。観光業支援というのなら、旅館などの観光業者を直接支援する方向に予算を振り向けるべきです。

コロナ対策で政府がこうした迷走を繰り返すのは、「感染防止に必要な休業要請を、補償とセットで行う」という確固とした立場に立たないからです。これは、他の支援策でも同様です。

政府が当初打ち出した対策は、金額が「少ない」、給付対象が「狭い」、届くのが「遅い」という、「3密」ならぬ「3弱」対策ばかりでした。「これではだめだ」という国民の批判と、野党の国会での追及で、制度の改善が進められてきました。

政府が当初「収入が半減」した世帯などに限定しようとした給付金は、「国民1人10万円」に変えさせました。雇用調整助成金の助成率を3分の2から最大10割に引き上げ、上限日額も8330円から1万5000円に引き上げて、手続き書類も簡素化させました。運動の力で制度を拡充させた重要な成果です。

これからも声をあげ政治を変えていくことが必要です。

医療編

PCR検査遅れどうする

Q PCR検査はなぜ遅れているの?

A 大本にあるのは“検査のやりすぎは医療崩壊を起こすから、数を絞る”という国の姿勢です。検査のやり方も、“保健所(帰国者・接触者相談センター)に相談してから”としてきたため、保健所がパンク状態になり、検査が進まない状況はいっそう加速しました。

検査の絞り込みで“誰が感染者かわからない”状態が続き、3~5月には各地で市中感染が発生。病院での院内感染も続発し、救急患者のたらい回しや“手遅れ死”など悲惨な事態も広がりました。

こうしたなか、検査体制の拡充を求める世論が沸騰。医師会と自治体が検査を専門に行う「検査センター」や「発熱外来」をつくる動きが起こりました。

国も世論を無視できなくなり、当初は、強い症状の患者に限っていた検査対象を「医師が検査の必要性を認めた患者」や「無症状の濃厚接触者」に拡大する方針を示しました。

「濃厚接触」にあてはまらなくても、感染が疑われる無症状者に自治体の判断で行政検査を行える旨も答弁しています。(9日の参院内閣委員会、田村智子議員への答弁)

ただ、国は検査対象を基本的に「濃厚接触者」に絞っているため、自治体の現場ではさまざまな“検査制限”が続いています。

日本共産党は6月の緊急提言で、検査戦略を転換し、感染が疑われる人すべてを速やかに検査するなど、積極的な検査戦略に転換すること、そのために1日=3万件程度の検査可能件数を10万~20万件に増やすことを提案しています。

病院経営 危機に直面

Q 病院経営が大変になっているのは、なぜですか?

(写真)密接を避けるため、間隔をあけた待合室のいす=首都圏の病院

A 新型コロナの患者を受け入れる病院は、空きベッド確保や一般診療の縮小、手術の延期で減収する一方、医師・看護師の特別配置、病棟・病室の改修などで支出は増大しています。日本病院会など3団体の調査では、コロナ患者の受け入れ病院は4月、平均で1億円の赤字になりました。

コロナ患者を受け入れていない場合も、全国保険医団体連合会の調査では、一般患者の受診控えで4月は90%近い医療機関が減収しました。

日本医療労働組合連合会の調査では、「コロナ減収」で3割の医療機関が夏の賞与を減額します。“命をかけて治療をした医療従事者がボーナスカット”という異常事態です。

各医療団体は、「コロナ減収」を放置すれば全国で資金ショート(不足)や倒産が起こるとして、国に抜本的な財政投入を要望。緊急には、過去の診療実績に基づいて全医療機関に減収補填(ほてん)する「診療報酬の概算払い」を求めています。

政府は、コロナ患者を受け入れる医療機関への空床補助や診療報酬の増額を決めましたが、減収補填は行わない姿勢です。

日本共産党は、全医療機関に減収補填を行い、感染防護具を国の責任で確保するなどで、地域の医療体制を守れと求めています。

介護施設 どう支援

Q 介護施設でも集団感染が起こっていますね。

A 『日経ヘルスケア』編集部の集計では、5月27日時点で施設内感染が見つかった介護・福祉施設は、全国70カ所にのぼります。

日本共産党は、集団感染を防ぐため、介護・福祉施設で働く労働者や入所者には、定期的にPCR検査を行うこと、マスクなど感染防護具を国の責任で優先的に配布することを要望しています。

また、介護・福祉事業所でも、感染を恐れた利用者の“サービス控え”が起こり、経営難が広がっています。もともと深刻な人材不足が叫ばれていた介護・福祉の基盤崩壊が起こりかねない事態です。全国老人福祉施設協議会や、日本障害者協議会など関係団体も財政支援を強く求めています。抜本的な財政投入が必要です。

介護の利用料 上がるの

Q デイサービスやショートステイの利用料が値上げになると聞きました。なぜ、そんなことに?

A 利用者の“サービス控え”や感染防止対策の出費増で、介護事業所の経営難と人手不足が加速しているため、政府はデイサービスやショートステイの介護報酬を引き上げました。ところが、その結果、1~3割負担の利用料も引き上がることになったのです。

サービス内容は変わらないのに、突然、利用料だけが高くなるという事態に、利用者や家族からは驚きと憤りの声が上がっています。利用料が上がっても保険給付の上限額(高額介護サービス費)は変わりません。そのため、保険給付をはみ出した部分が「自費」となり、負担額がさらに跳ね上がったケースまで生まれています。

日本共産党国会議員団は、利用料が増える部分は公費で補填し、利用者を負担増にしないよう求めています。

国保の減免 ありますか

Q 国民健康保険料(税)の負担が大変です。減免制度などはありますか?

A コロナ禍により、主たる生計維持者の収入が前年比で3割以上減った世帯について、国保料(税)の減免制度が導入されました。

減収額は、1~3月の実績を12カ月に延ばすなどの“見込み”で各自治体が判断します。任意の1カ月の実績を12倍して計算している自治体もあります。

国保に加入する被用者が、新型コロナ患者となるか、その疑いで休業した場合、傷病手当金が出ることになりました。

 国が財政負担の対象としているのは被用者だけですが、自治体の裁量で、自営業やフリーランスに対象を広げることも可能とされています。日本共産党国会議員団は、国としても自営業やフリーランスを傷病手当金の対象とし、財政負担を行うよう要望しています。

労働・雇用編

休業手当 もらえないが

Q 会社から休めといわれたのに休業手当を払ってもらえない中小企業の労働者を対象にした「休業支援金・給付金」とは?

A 対象となる中小企業は、小売業(飲食含む)で資本金5000万円以下または常時雇用する労働者が50人以下、サービス業は5000万円以下または100人以下などです。正社員だけでなく契約社員やパート、アルバイト、技能実習生なども申請できます。

給付額は、休業前6カ月のうち任意の3カ月の合計賃金を90日で割って算出した「日割り平均賃金」の8割(上限1万1千円)が、休業した日数に応じて支給されます。休業前の勤務が2カ月しかない場合は60で割ります。

(写真)アルバイトにも休業手当を払えと声を上げる首都圏青年ユニオン組合員=5月25日、東京都内

申請にあたっては、休業手当を支払っていないことを事業主に「支給要件確認書」に記入してもらうことが必要です。協力が得られない場合、その事情を書けば労働局が事業主に報告を求めます。

休業手当を支払う事業主に助成する雇用調整助成金を使えば、コロナ特例で1日1万5000円を上限に、最大10割給付となりますが、今回の支援金は8割にとどまります。

大企業で働く労働者や非正規労働者は支援金の対象外です。すべての労働者が救済されるように改善させる必要があります。

(写真)新型コロナウイルス感染防止対策実施の看板をかかげる飲食店=東京都渋谷区
中小業者の家賃支援って

Q 中小業者らの地代・家賃を国が支援する「家賃支援給付金」が始まったと聞きましたが?

A 申請受け付けが14日に始まりました。事務局はリクルートです。申請はオンラインのみで、賃貸借契約書や直近3カ月分の家賃支払い証明が必要です。

対象は資本金10億円未満の企業や、フリーランスを含む個人事業者。①5月以降で、1カ月の売り上げが前年同月比50%以上減った、または②5月以降の連続する3カ月の売り上げ合計が前年同期比30%以上減ったことが条件です。

上限は法人600万円(6カ月分)、個人事業者300万円(同)。法人の場合、月の賃料が75万円以下なら3分の2が、以上なら超過分の3分の1に50万円を足した額が給付されます(1カ月上限100万円)。個人事業者は、賃料が37・5万円以下なら3分の2、以上なら超過分の3分の1に25万円を足した額です(同上限50万円)。

問題は、5月以降の減収しか対象にしておらず、②の場合、申請できるは最短でも8月になります。オンライン申請だけにしていることも問題で、改善が必要です。

医療従事者に慰労金は

Q 雇用調整助成金が拡充され、医療従事者に慰労金が出ると聞きましたが?

A 従業員に休業手当を支払う事業主を支援する雇用調整助成金について、日額上限が8330円から1万5000円に特例措置で引き上げられました。

解雇などを行わない中小企業については助成率を10割に引き上げます。いずれも9月30日までが対象です。

日本共産党や労働組合が強く求めていたものです。

小学校などが臨時休校になった場合、子どもの世話を行う労働者に有給休暇を付与した場合の「小学校休業等対応助成金」も日額が1万5000円に引き上げられました。

世論と運動に押されて医療従事者や職員に対する「慰労金」が支給されます。各都道府県で感染患者が発生した日(岩手県は4月16日)から6月30日までの間に、10日以上勤務した人が対象です。

都道府県から役割を指定された医療機関で、コロナ患者の診療を行った医療機関である場合は1人20万円。それ以外は1人10万円。その他の病院、診療所、訪問看護ステーションなどは1人5万円です。非課税となります。

申請は、医療機関が対象者から代理申請・受領の委任状を集めて国民健康保険団体連合会に行います。

産休で収入なしでも持続化給付金可能

2019年に産休を取って収入がなかった人でも、2018年の収入実績をもとに持続化給付金を申請できます。5月、吉良よし子参院議員の問い合わせに中小企業庁が回答しました。

吉良氏は、「昨年産休をとったため前年の収入との比較ができず困っている」といった相談が寄せられたことから、同庁に対応を要請。同庁は「出産などの『その他相当の事由』により19年の確定申告書を提出できない場合は、18年の申告書などで対応可能」と答えました。

吉良氏がこのことをツイッターで拡散したところ、次々と「支給された」との声が届いています。

飲食店を営む女性は「吉良さんのツイートで希望が見え、再度申請したら満額振り込まれました! 私のような人がたくさんいます。あきらめないでとお伝えください」と、喜びのメールを吉良氏に寄せました。

生活に困ったときは…

Q 新型コロナの影響で収入が減少し、困っています。

A 三つの制度を紹介します。

生活福祉資金の特例貸付(窓口は自治体の社会福祉協議会)

生活福祉資金の特例貸付には①当面の生活資金に困った方向けの「緊急小口資金」②収入減少が長期になり生活が困難な方向けの「総合支援資金」があります。7月2日の「実務連絡」で、両方で最大140万円まで借りることができるようになりました。アルバイトの収入減でも可能。償還時に住民税非課税世帯以下の場合、返還を免除することができます。

住居確保給付金制度(窓口は自治体の生活困窮者自立支援制度の主管部局)

離職・廃業、または休業による収入減少によって、住居を失う恐れのある人が対象です。「家賃相当額」(上限あり)を自治体が原則3カ月払います。「特別な事情」がある場合、最長9カ月まで延長が可能です。

7月3日の省令改正で算定方法が変わり、拡充されています。

生活保護制度(窓口は自治体の福祉事務所)

生活保護制度は、憲法にもとづく国民の権利です。しかし、窓口では、申請しないように誘導される「水際作戦」が問題になっています。6月15日の参院決算委員会で、日本共産党の田村智子参院議員の質問に安倍首相は「文化的な生活を送る権利がある。ためらわずに申請していただきたい」と答弁しています。(資料①,②参照)

困った時にはどんどん活用しましょう。

文化編

支援どうあるべきか
(写真)公演再開に向けた東京都交響楽団の試演=6月12日、東京文化会館

Q 映画・音楽・演劇など文化芸術活動が大きな打撃を受けていると聞いています。政府の支援はどうなのでしょうか。

 A 第2次補正予算で、「文化芸術活動の継続支援事業」(予算額509億円)を行い、10日から申請を受け付けています。これから公演などを行うフリーランスの芸術家・技術スタッフや、小規模団体に対して活動費を補助するものです。フリーランスは、稽古場確保や研修資料費などを簡易な手続きで上限20万円まで補助、さらに動画配信など積極的なとりくみを計画すると150万円まで補助されます。小規模団体には、感染対策を行い、動画の作成などを行う公演に対して150万円まで補助がでます。

 申請は、個々の芸術家や団体が、文化庁が認定した「統括団体」からプロであるという確認番号を発行してもらうと、確認番号と簡単な事業内容などをネット上で入力し、本人確認書(免許証や住民票)を郵送するだけでできます(事業計画書が必要な場合もあります)。確認番号がなくても申し込みできますが、必要書類が増えます(詳細は文化庁ホームページ参照)。ライブハウスやミニシアターなど建物を持っている事業者は、中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」を申請し、それに通らなかった場合に文化庁の継続支援事業を申し込むことができます。

 しかし、これらは一度きりの補助で、予算の枠内で申請は打ち切られます。そもそも2月末からの「自粛」要請をうけたイベントの中止・延期による損失の大きさ(ライブ・エンターテインメント業界だけで来年1月までの推計6900億円)に比べればわずかなものです。多くの関係者が求めている「文化芸術復興基金」を創設し、1000億円以上の国費を投入して、支援を必要とする人たちがもれなく受けられるようにすべきです。

学生・教育編

困窮した学生に対しては

 Q 新型コロナで困窮している学生への支援はどうなっているの?

 A 新型コロナの影響でアルバイトがなくなった学生も休業手当の対象です。休業手当を支払う事業主に払われる雇用調整助成金は、コロナ特例で雇用保険未加入の学生も対象になりました。特例を周知し、学生にしっかり休業手当が支払われるようにすることが必要です。

 コロナの影響で家計が急変した学生も、低所得層を対象に授業料減免と給付型奨学金をセットで行う大学等修学支援制度の対象になります。本来、前年の世帯年収が要件ですが、減収前後それぞれ1カ月分の給与証明などで家計急変を証明すれば、受けることができます。

 コロナの影響で困窮した学生を対象に1人10万円(住民税非課税世帯は20万円)を支給する学生支援緊急給付金は、学生総数370万人に比べ対象が43万人分しかなく、要件も厳しいと問題になっています。学校ごとに推薦枠があるため、要件を満たしても推薦されない学生が大量に出ています。

 学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」は、申請した学生の約3割が給付を受けられなかったとのインターネット調査結果を公表。一律の授業料半額免除こそ必要だと訴えています。

学校の感染予防策は

 Q 学校ではどんな感染予防対策が必要ですか?

 A 感染の再拡大とともに教職員、子どもの感染が報告されています。学校での爆発的な感染拡大ではなく、家族から感染した子どもが登校、あるいは感染した教員が登校したものです。無症状のケースもあり、リスクはゼロにできないという前提で3密対策など地道な対応が大切です。

 緊急に必要なのは、感染拡大地域を中心にした全教職員への定期的なPCR検査を実施することです。

 子どもはけなげにマスク着用などを続けていますが、過剰な対応は心身の健康にかえってマイナスであり、配慮が必要です。また、なぜ、どんな時にマスクが必要なのかなどの知見を共有し、子どもが主体的、科学的に感染症に向き合えるようにしたいものです。

 見過ごせないのは、教職員の勤務状況のひっ迫です。もともとの長時間労働に、消毒などの負担やマスク常時着用が重なりました。疲労は免疫力の低下も招きます。早急な増員とともに、子どものためにも7時間授業の中止などゆったりした勤務が求められます。多くの学校で教職員室での密状態が放置され、改善を求める声も高まっています。感染拡大の地域を中心に全教職員のPCR検査の実施の要求が切実です。

 感染者の登校リスクを下げるためには、少しでも調子が悪かったら休める学校にする必要があります。

(写真)福岡県の緊急事態宣言の解除を受け、北九州市で学校の分散登校が始まった。各クラスを半数に分けての授業のため、空席が目立つ=5月18日、北九州市戸畑区の同市立あやめが丘小学校

 学校で感染者が出た場合、濃厚接触者の特定までの間、当該学校の全部または一部を休校にし、特定後にその状況に応じて学校再開か休校(一部を含む)とするのかが、現在の国の方針です。首長が営業自粛を要請した場合などでも、休校の必要性について協議するとしています。これは、根拠なき一律休校による弊害に対する、一定の反省の上に立ったものといえます。

少人数学級は

 Q 少人数学級が注目されていますが、どうなっていますか?

 A いま、重要な局面を迎えています。

 6月10日、衆院予算委員会で志位委員長に対し、安倍晋三首相が「コロナ後を見すえて検討したい」と答弁しました。同22日付「日経」では全国連合小学校校長会の会長が「20~30人学級」と表明。7月3日には全国知事会、全国市長会、全国町村会の三つの団体の長が文部科学省に「少人数学級の実施」を要請しました。公明党も首相に要請したと報じられています。

 こうしたもとで、政府の経済財政諮問会議のいわゆる「骨太方針」に、初めて「少人数指導の体制」の整備の検討が盛り込まれました。少人数学級を視野に入れる文科省と、阻止したい財務省の妥協の表現と指摘されています。

 コロナ下での子どものケアと学び、授業中の身体的距離の確保、その両方から少人数学級は焦眉の課題となりました。政府や与党内から少人数学級をの声が起きていることは、注目すべき変化です。

 来年度予算の概算要求は今回は9月です。それまでに政府の姿勢を変えさせるためにも、国民が声をあげることが必要で、共産党は大きな運動を起こそうと呼びかけています。

心のケアは

 Q 授業のつめこみがひどく、子どもは苦しんでいます。先がなかなか見えない受験への不安や、コロナそのものへの心配も募るばかり。心のケアが大切だと思うのですが。

 A 子どもたちは、かつてないような不安やストレスをためこんでいます。各種のアンケート調査には「集中できない」「夜眠れなくなった」「一人ぼっちだと感じる」などの声が寄せられています。「コロナで親が死んじゃったらどうしよう」と教員に手紙を書いてきた子どももいました。

 心のケアの必要性については文部科学省自身も認めています。しかし、すべての子どもの気持ちをゆったりと受け止め、勉強のつめこみでストレスを与えない、ということこそが今大切です。

 夏休みが短縮され、学校行事が軒並み中止になるなどの中で、「こんな学校に行きたくない」と悲鳴もすでにあがっています。政府さえ「授業の遅れは2、3年かけてとりもどす」とのべ、文科省の授業再開の例示は7時間授業などを9月からとしています。現在のつめこみ授業は明らかにやりすぎで、是正される必要があります。

 学校現場には、子どもに寄り添おうと心を砕く教職員たちがいます。心が軽やかになるよう絵本の読み聞かせから始めたり、コロナの不安に応える学びを進めたり、3密を防ぐ工夫をこらして体育や音楽の授業をしたり。こうした現場の努力の後押しこそ、教育行政に求められています。

(写真)密集を避けるために距離を置いて設置された避難所の居住スペース=5日午前、熊本県人吉市

地方編

地方創生臨時交付金は何に使える

 Q 3兆円に増えた地方創生臨時交付金は何に使えるの?

 A 内閣府は、自治体が必要と判断した新型コロナウイルス対策であれば、原則として使いみちに制限は設けないとしています。感染拡大の打撃で苦しんでいる事業者や住民に使われるよう、自治体に働きかけることが重要です。

 交付金は、休業要請に応じた事業所への“協力金”や売り上げが減少した事業者への給付金のほか、小中学校で分散授業などを実施するための教職員の加配に充てることもできます。

 災害発生に備え、衛生用品や避難所の備品の備蓄に充てることや、災害発生時に避難所のコロナ対策費やホテルや旅館を借り上げる費用に充てることも可能です。

 事業者が金融機関から融資を受けやすくするため、自治体が利子分を補助する利子補給や信用保証料補助などの目的であれば、基金の積み立てに使うことも2次補正からできるようになっています。

(資料①)2020年6月16日(火)「しんぶん赤旗」

参院決算委 雇い止め・生活困窮 田村副委員長の質問

 日本共産党の田村智子副委員長は15日の参院決算委員会で、新型コロナウイルスの影響で広がる解雇・雇い止めや生活困窮への政府の対応を正面からただしました。

(写真)質問する田村智子副委員長(右)=15日、参院決算委

田村氏「雇調金・支援金周知を」

首相「活用して雇用守ってほしい」

 田村氏は、「新型コロナウイルスの影響で解雇・雇い止めが増え続けており、どうやって雇用を守るのかが切迫して問われている」と指摘。「4月の休業者652万人が失業者に転じてしまうのか、契約社員・派遣社員が大勢切られてしまうのかの瀬戸際にある。首相が経済界に雇用を守るよう強力に要請するべきだ」と迫りました。

 安倍晋三首相は「雇用を守ることが政治の最大の責任だ。雇用調整助成金(雇調金)等を活用して雇用を守ってほしいとお願いし、労働者が申請できる新たな制度(休業支援金)もつくった。多くの人に利用してもらいたい」と答えました。

 政府は第2次補正予算で、雇調金の月額上限を33万円に引き上げ、事業主から休業手当の支払いを受けられない中小企業の労働者に賃金の8割(月最大33万円)を給付する休業支援金を新設しました。

 田村氏は、月ごとに勤務時間や日数が決まるシフト制のアルバイトも支援金の対象になるか確認。厚生労働省の小林洋司職業安定局長は「対象になる」と述べました。

 田村氏は、3カ月などの短期契約を繰り返して働く派遣労働者についても、雇調金や支援金の対象から漏れることがあってはならないと強調。6月末に契約更新を迎える派遣労働者が多く、「契約が更新されず、次の派遣先がない場合、派遣会社は雇用契約がないからと休業手当も払わず、収入が絶たれる恐れが強い」として、「国会を延長し、雇調金や支援金の活用状況や派遣・契約社員の雇用実態をつかみ、議論するべきだ」と迫りました。

 加藤勝信厚労相は、5月末に派遣の業界団体に対し、派遣先企業への契約継続の働きかけや、派遣元が雇用を継続し雇調金等を活用することなどを要請したと説明。「労働局で雇調金を使うよう働きかけた結果、(雇用を)継続する考えを示したところもある。そうした方向が広がるよう努力したい」と応じました。

 田村氏は「派遣会社への通知だけでなく、労働者に対しても『辞めさせられない道がある』『休業手当を受け取る権利がある』と知らせてほしい」と強く求めました。

田村氏「生活保護は権利と呼びかけを」

首相「文化的な生活送る権利ある。ためらわず申請を」

 「“生活保護はあなたの権利です”と、この場で呼びかけてほしい」―。コロナ禍で生活困窮に陥った人が、生活保護申請を諦めることがないよう迫った田村氏に、与党席からも拍手が起きました。安倍首相は「文化的な生活を送る権利がある。ためらわずに申請していただきたい」と答弁しました。

 「所持金40円」「住むところもない」―。貧困問題にとりくむ団体の支援活動に、SOSが相次いでいます。

 「リーマン・ショック等の経験を踏まえても住居の確保は非常に大事。しっかりと応援していく」と述べた加藤厚労相に対し、田村氏は、住まいを失った人に劣悪な無料低額宿泊所への入居を強制するなど自治体での不適切な対応が多発していると指摘。まず公営住宅など安全な住居の確保が必要だと求めました。

 さらに、生活保護を申請させない“水際作戦”も相次いでいると指摘。収入が激減した漁業者が「漁船を売れば20万円になる。生活保護は無理」と言われた事例や「自宅を売れば生活できる」と追い返された事例を示し、「住まいや働くすべを失わせるのが保護行政なのか。コロナの影響から少しでも早く立ち直るために、自立のための能力をそぐような対応は改めるべきだ」と迫りました。

 加藤厚労相は、自立を助ける観点から、家屋や通勤用自動車など「適切に活用できる資産は保有を認めている」として、柔軟な対応を徹底すると述べました。

 田村氏は、保護申請者を厄介者扱いする対応の根っこには、行政が「生活保護は権利」の認識を養わないどころか、一部政党が侮蔑や敵意をあおってきたことがあると指摘。ドイツでは「誰一人として、最低生活以下に陥ることがあってはならない」と、新型コロナ対応で120万人の生活保護利用を見込んでいると述べ、「生活保護は権利だと呼びかけてほしい」と求めました。

 安倍首相は「生活保護に攻撃的な言質をろうしているのは、自民党ではない」などと答弁。田村氏は、民主党政権時代に生活保護受給者を増やした際、攻撃したのが自民党だったと指摘しました。

 田村氏は、長野県ではパンフレットで「生活が立ち行かなくなることは、誰にでも起こりうること」「憲法第25条の生存権の理念に基づく最後のセーフティネットが生活保護」などと分かりやすく市民に伝えていると紹介。「生活保護はあなたの権利、ためらわず申請してほしいと政府が国民に広報を」と重ねて求めました。安倍首相は「文化的な生活を送る権利がある」「さまざまな手段を活用して働きかけを行う」と述べました。

(資料②)コロナの下での生活保護業務についての厚労省通知から

(3月10日,4月7日,5月8日,5月26日の事務連絡)

◆面接時の対応 ・速やかに申請書を交付し申請権を侵害しない ・生活保護の要否判定に直接必要な情報のみを聞き,その他は電話で聞くなど,面接が長時間にならないように ・申請時に記載事項すべてが記入されていなくてもよい ・住所がない人は現在地の自治体が保護を決定する ◆速やかな保護決定 ・所持金がない場合,生活福祉資金貸付制度などの活用を支援し,保護の決定を速やかに行う
◆弾力的な運用 ・新たに就労の場を探すことが困難な場合,稼働能力を活用できる場を得られるかどうかの判断を保留できる ・通勤や求職活動に必要な自動車の保有を一定の条件で認める。自営に必要な店舗,機械器具等の資産も同様 ◆医療 ・医療扶助の申請は電話で受け付け,医療券なしで受信できる

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